しんどい

改行はない 生活するだけ

2020.10.3 満月にいたるまで

2020.7月中旬

先日、恋人に結婚を申し込むことを決めた。去年からずっとそのつもりではいたものの、自分のなかの問題で、なかなか踏ん切りがつかなくなっていたこともあったけど、ついに決めました。相手との結婚生活の不安からなどはそこまで大きくなく、「自分が家庭をもっていいのか」、「もう何からも逃げられなくなる」、など自分の弱さを自覚したうえで決心できなかったところが大きすぎた。まあ仕事で追い詰められていて、大変精神が後ろ向きになっていたといことも充分あるが。何にしてももう決心したので、さっそく行動に移さなければならない。年内のできれば早めにプロポーズをしたい。入籍はいつでもいいから、早く伝えたい。近頃「先が見えなくて不安」と言う恋人には申し訳ないが、準備までもう少しまってください。

一生に一度のことなので、できるだけ2人の思い出に残るようなプロポーズにしたい。けれども凝りすぎるのも嫌だし、大がかりに他人を巻き込んだりするのも性に合わない。なるべくなら静かに2人だけでやりたい。などと、シチュエーションを考えるもののすぐには名案は浮かばないので、まずは婚約指輪から考えることにした。しかしネットで好みに合いそうなブランドを探してみるも、婚約指輪といえばザ・お姫様のようなデザインが大半を占め、なかなかこれだというものにたどり着くことができなかった。全てが簡単ではない。

2020.8.20(木)

ようやくネットで一つのブランドに目星をつけ、おれの住む町にも支店があるとのことで来店予約をした。仕事終わりに急いで向かった。何度も通ったこともある街の中心部にある店だが、普段なら絶対に縁がなく気にもしていなかったのでどこか新鮮だった。接客は1人の担当者と一対一だったが、あまり緊張はなかった。むしろ店に来る前に食事した餃子の王将のこわいおばさんにオーダーするときのほうが緊張した。リングはおおまかな理想のイメージは持っていたので、それを伝えて7〜8個に絞って検討した。おれが知りえる恋人の趣味とおれの好みを総合的に勘案して、婚約指輪としてはかなり無骨でシンプルなデザインのものに決めた。今日決めるつもりは全くなかったのだけど、あまりにもストライクすぎるデザインを発見したので、もうそれ以外考えられなくなってしまった。接客担当の人には、「女性と2人で来店されると大体もっと婚約指輪らしい華やかなものをお選びになりますね」「あ〜、男性の方って結構細かいこだわりをお持ちの方が多いので、そういったタイプのものを選ばれる方は多いですね」「なかなか人とかぶらないとは思いますが、そうですね〜婚約指輪だけは王道のものをって女性の方は多いと思いますよ」などと、暗におれのセレクトを反対しているような感じだったけど、恋人の見た目のイメージや、普段使いもしてほしいという想いを話したことで最終的には「これしかないですね!」と納得してくれた。なぜこの人を納得させないといけないんだろうかと冷静になって思うが、丁寧に伝えることでダイヤ選びも至ったあともイメージの共有済みということで話が進めやすかったように思う。まあ、たしかにおれの判断で結構個性的なものを選んでしまっているので、そもそもがこれを喜んでくれるかはとても不安なのだけれど、大きくはずしてはいないと思う。そう思いたい。ブランドの売りはダイヤだったので、予め決めていたクォリティのものでお願いした。ダイヤ、めちゃくちゃに美しい。こんなに輝いている石を見たことがない。これが恋人の指にはまることを考えるとうっとりしてしまう。サイズはもうおおまかに作って直すしかないと諦めていたのであまり迷うことなくオーダー。刻印はどうするかと聞かれ、何割のお客さんが入れているのかと聞き返すと9割という返答だったため、そんなにかと驚愕した。別にあってもいいとは思うのだけれども、プロポーズの日も決まっていないし、付き合った記念日も少し考えたが婚約指輪にそれを入れる意味がよくわからないなとか、入れることでチープになってしまいそうだなとか、考えを巡り巡らせたすえにやめることにした。納品は9/26とのこと。プロポーズはそのあとか。特にその頃に記念日もないので、きっかけが難しい。理想は、夜が更けたどこかからの帰り道に、愛しているという情動に任せて自然な会話の流れから伝えることなのだけど。それだとあまり特別感はないな。本当に悩む。

とにかく今日は、思ってたよりかなり気に入った指輪を作れたので大満足で帰路へ。恋人へプレゼントやお土産を買った時は我慢できずにすぐ話してしまうたちだが、これだけは辛抱しなければなるまい。買ったという事実のみならず、この喜びをすぐに伝えられないのは辛い。普段どれほど恋人に感動の共有をしたがっているかが改めてよくわかる。

2020.8.23(日)

恋人が両親と食事に行ったため、1人で落ち着いて案を練る。インターネットの検索に頼ってみようとすると、陳腐なプランしかでてこない。さっき1人カラオケに行った時に最後に歌ったHomecomingsの『cakes』には思い出がありすぎて何かで使いたい。あとはカネコアヤノも2人とも好きだということと、歌詞の世界が理想とするこれからの暮らし像にハマりすぎているためピッタリなんだよな。カラオケで歌いながらプロポーズのためにカネコアヤノがおれに曲を書き下ろしてくれるという妄想をしました。

やっぱり思い出を盛り込みたいのだけれども、ここという場所がすぐに思い浮かばない。絞り出した中で少し良いかなと思ったのは、付き合い始めのGWに、夜遅くダウンを着込んで花見に行った公園。そこでプロポーズ後に、あの日と同じように自転車でやってきたおれの友人に2人の写真を撮ってもらう。悪くない。

8.24(月)

「プロポーズの案」をググったり考えたりするから陳腐な例しかでてこないのだ。もっと形に拘らずに多角的に考えねばならない。ということで感性を磨き、ヒントを得るべくインプットを積極的にすることにした。果たしてこれは近づいているのか遠ざかっているのか。今のところわかりません。

8.25(火)

公園でプロポーズするならそこへ行く口実が必要だ。紅葉なら昼間だしな〜などとと考えていたところ、お月見はどうだろうとひらめく。そとで月見団子食べようと誘うのも良いな。のってくれそうだし。今年の十五夜は10月2日(金)らしい。いずれにしても平日か。平日はちょっと微妙なので3日(土)にしようか迷う。いつにしても、その付近で食事したあとに公園に行くのが良いな。素敵な店でもいいけど、ここは何度か2人で行ったことあって気に入っているカジュアルなイタリアンの店がいいな。ほろ酔いで月を見に行くのもいいな。やっぱり満月案は良いな。いつかの満月の夜にふと思い出したりできそうで。

9.2(水)

朝恋人とシャワーを浴びながら、過去に元彼氏が婚約指輪のカタログみたいなものを持ってきたという話をされ、もう少し突っ込んで聞いてみたかったけど墓穴を掘りそうなのでなんとか避けた。注文したあとなのに、サイズとか好きなデザインが気になってしまう。もう1ヶ月後に迫っているけどあまり実感はない。

昼休みに友人にLINEをした。

おれ「10/3の夜あけておいて!頼みがある」

友人「夜?なんだなんだ」

  「プロポーズするの?」

       「踊ればいいのか?」

おれ「踊ってもいいよ」

友人「写真とればいいのか?」

という流れに。夜に頼みがあるから空けておいてしか言わなかったのに、プロポーズすることと写真をとってほしいことを見抜いた友人の勘の良さに驚く。とにかくすぐに話は伝わり、依頼が完了した。

9.3(木)

恋人と2泊の温泉旅行。途中気分が高揚して何度も結婚してほしいと言いそうになる。楽しい酒は危ない。あと一ヶ月待たなければいけない。

9.5(土)

温泉から帰ってきたその足で、恋人とおれの実家へ行った。両親が実家を出て、引越しをするため最後の帰省になった。そこに恋人も着いてくるかたち。短期間に二度の実家訪問なんてバチバチに結婚意識してしまってまずい。いや、まずくはないんだけど。

9.6(日)

一緒に夕食の支度をしていると、おれも会ったことがある恋人の親友が結婚するとの報告がきた。すごくおめでたいし嬉しいのだけど、少し変な空気になった気がするし、心なしか恋人が元気なくなったように見えた。勘違いであっても、待たせてしまっていることが申し訳ない。でも、一生に一度のことなので、もう少し待ってください。ごめん。あと一ヶ月を切っているのに、冬の始まりに春の訪れを待つくらい長く感じる。

なんて思っていたら眠りにつく前に案の定恋人から「○○たちはいつ?」と冗談風に聞かれた。「ご安心を」「coming soon」などと言って受け流す。

9.11(金)

来月結婚するという恋人の親友が遊びにきた。恋人がトイレに行った隙に「10/3プロポーズします!」と打ったiPhoneのメモ画面を見せつけた。驚いた様子で「絶対気付いてないと思います!」と言っていたので、ああ、きっとそういう気配がないみたいな話を最近していたんだろうなと察した。

9.20(日)

この2日間で恋人がものすごくポップに「じゃあ結婚しよう!」などと言ってきて、その対応に苦慮してしまう。うまい受け流し方がわからないうえにこちらの計画の都合だけでハッキリしたことが言えず申し訳ない。おれのエゴでしかないのである。あと約2週間が死ぬほど長く感じる。本当にごめんなさい。

そういえばこの前遊びに来た、恋人の親友のプロポーズはネックレスだったらしいと言う話を恋人から聞いた。その話をしている感じから、やっぱり指輪でしょという気持ちが読み取れたのでホッとした。早く指輪に会いたいです。

9.25(金)

プロポーズの言葉とか、ちゃんと決めたら絶対うまく言えなくなるポンコツなので、ふわっとしか考えていない。でも最後はシンプルに「結婚してください」とかかな。あと言いたいのは「一緒に幸せになろう」です。相手を幸せにしたいし、自分もなりたいので。

9.28(月)

指輪ができているはずなので、仕事終わりに受け取りに行く。別に間に合えば今週のいつでもいいのだけれど、実際に対面することで気持ちの高まりも違ってくる気がするので。帰り道、空を見ると円に近い月が浮かんでいた。満月まであと4日。あいにくプロポーズ予定日の天気予報は雨になっている。でもなんか晴れてくれる気がする。今日は家に帰ったら、当日に家でかける思い出の曲プレイリストを作ろう。

指輪を受け取りに行く途中で、同期と飲みに行く道中であろう恋人を発見して駆け寄って声をかけた。なぜ今おれがここにいるという、当然の疑問を持たれることを恐れる間もなく駆け寄っていった。おれは犬だ。話しかけてからなぜここにいるかという理由を「歩いて帰りたくて」というやや強引な理由にしようと決めた。プロポーズが終わったら謝ろう。

お店で受け取った指輪、ダイヤが煌めきちらしていてうっとりした。そしてよりプロポーズすること、結婚することの実感が湧いてきた。帰り道、ご機嫌で無印良品に寄ってキッチングッズや食器を眺める。その足取りは踊るように軽く、手は自分の左右の太ももをリズミカルに叩いていた。どこかで食事をして帰ろうと思ったが、指輪を受け取るとどうでも良くなったので地下鉄で帰宅。もう一度指輪を開けて眺め、それをクローゼットの奥へ隠した。

9.29(火)

バツイチ婚活中の女友達と、幸せ同棲中の男友達(ゲイ)と飲む。おれは順調かと聞かれ、週末にプロポーズするプランがあるが天気が心配だと話した。それなら前日の金曜にしてはどうかと言われ、写真を撮り行ってあげられると言ってくれた。ありがたい。土曜はやはり雨予報で、本当にそれを頼むかもしれないと言っておいた。

10.2(金)

本当の満月の日。月はあまり見えなかった。結局、恋人は残業せず、一緒に焼肉に行った。自分に甘く、決めている月の回数を破って外食してしまうようなところ、とても良い。帰り道は雨だった。今日にしなくて良かった。寝る前に、些細なことでおれがへそを曲げてしまった。前日だというのに。でもやっぱり寂しかったんだ。当初の予定どおり、プロポーズは明日実行することにして、写真撮影を頼んでいる友人がいるグループLINEで軽く打ち合わせ。頼まれた方も緊張している様子だった。明日が忘れられない日になりますように。

10.3(土)

計画当日。天気予報をみるとまさかの昼から晴れに変わっていた。なんとかなる気がすると根拠のない自信があったが、まさかここまでとは。

朝は冷凍していたコストコディナーロールを恋人が淹れてくれたコーヒーとともに食べた。NHKドキュメント72時間を観ながら食べた。この番組はコーヒーとの相性が良い。食べ終えたあと、いつものようにゴロゴロしてスマホゲームをする恋人。きっと今日結婚を申し込まれるとは思っていないだろうな。夕食に出かける前に、去年1日に2回もみたアラジンを2人で観た。愛がなんだと迷ったけど。

出かける前、恋人がいつもよりおめかしをしようとしてくれている。素晴らしいです。そして意外に緊張しているおれに少し驚く。

食事はここ最近の中で一番会話も弾み、自然にすごく楽しい。意識はしていなかったけど、なにかがそうさせたのかな。何気ない日常が特別で幸せと何度も言ってくれた。友人がLINEで、この場に立ち会えることが嬉しいと言ってくれている。これから店を出て、思い出の公園に月見をしに行く。月は見えるだろうか。見えても見えなくても、どちらでもいい。月見にもっていく飲み物を買いにスタバに入る。気分が高揚している。ああ、人生のピークだ。そしてそのピークはこれから更新され続ける。

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2020.8.14 書店にて

忙しくなってやらなくなっちゃうようなことは本当の趣味じゃないなと思った。今年に入ってから全然本を読んでいない。本当はきっと何かに役立てたくてインプットする読書なんて好きじゃないんだ。だから何かに役立てるためにする読書はつまらない気がして後回しになる。読書に限らず、芸術とかスポーツとか、コロナ禍で蔑ろにされてきたものやことも、結果的には誰かの役に立っているけど、それは役に立てるために存在しているわけじゃないから。感動とか全て結果論なのに「観ている人に勇気を!」とか自分で言っちゃう芸術家とかスポーツ選手は胡散臭いと思ってしまう。

話がそれた。本を読むことが趣味じゃなくても、たまには読みたくなるし、書店や本棚が好きだということは変わらないので、今日は仕事を昼で切り上げて江別の蔦屋書店に行きました。車じゃないと行きにくい場所なのだけど、わざわざJRに乗って行くのも悪くないと思って、午前の仕事中に決めた。

JR江別駅、この町にあのおしゃれ書店があるのかと疑ってしまうほど寂れている。こんなだっけ。f:id:shindoi1:20200814125222j:image

そして駅前のこの広すぎる謎の五叉路。白線がほとんど消えていて地元民でなければ怖くて走れないのではないか。

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書店方面の路線バスを待っていると、おばあさんに「国鉄バスはどこでしょう…」と、質問しているのか独り言なのかわからないトーンで囁かれ、視界に映るJRバスのバス停を指差してみた。どうかあれで合っていますように。その後ももう1人別のおばあさんに同じことを聞かれたから、地元民じゃないことを告げた上で自信なさげに指をさしておいた。無事に目的地へ辿り着けますように。おれは目的のバスに乗り、最寄りのバス停「若草町」へ。あまり知らない町でバスに乗るのは少し不安だけどワクワクもする。殺人的に冷房が効いた車内で尿意を堪える。職場で1日かけて飲み切る予定だった2Lの水を半日で無理やり飲み切ったせいだよ。

バスを降りると実家に住んでいたころわざわざ車で買いに来ていたお豆腐屋さんを発見。何か買って帰りたいけど荷物になりそうなので断念した。蔦屋書店まではここからまだ約5分歩くのだけれども、その経路のほとんどがこの素敵な小径なので苦じゃない。強いて言えば尿意忍耐が苦だ。

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このみちを抜けるとすぐに蔦屋書店に着きます。札幌からこんなにも楽に来られると思わず、車借りなきゃとか考えてたのに少し拍子抜けした。平日だから少しは空いてるかと思いきや、世間はお盆真っ只中なので家族連れで駐車場はパンパン、お昼時ともあり食の棟のフードコートもパンパン。それでもやっぱりここへ入ると心が躍る。昼食は札幌の薫製料理屋のOZがやっているガパオライス屋さんでプレートを頼みました。ビールは175°DENOで山椒ビールを調達。本当なら今日はライジングサンに行っているはずだったのでせめてもの夏フェス感。

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14時、食後、店内を小一時間彷徨って、気になる本を手に取って空いている椅子に座る。本を読まずともこの景色を見てぼーっとしているだけで心が洗われる気がする。

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店内にいる人を見ていると当たり前にみんなマスクマスクマスクだけど、バカそうな輩ほど顎マスクという雑な統計がとれました。この前小樽に出かけた時にもそう感じたからきっと正しい統計のはずです。なぜあえて顎にずらしたまま会話をする。イオンへ行ってほしい。

Apple Musicのカフェミュージックプレイリストをかけて、うたた寝をしたり意識を取り戻したりしつつ阿波野巧也『ビギナーズラック』を読んだ。

ビギナーズラック

ビギナーズラック

 

イヤホンから、君島大空と誰かがカバーした七尾旅人の『サーカスナイト』が流れてきてやはりライジングサンを想う。幾度となく石狩で聴いたサーカスナイト。去年は明け方に恋人と寝転がりながらこれまた夢うつつで聴いていた。こうやってなす術もなく失われた時間のことを考えると、どうにも怖くなる。また次は本当にあるのだろうかと。その次にかかった曲はシンリズムの『暮らしの半分は』という曲だった。ポップの先人たちへの敬意が感じられる彼らしい曲でめちゃくちゃ良いな。シンリズムは一昨年のボヘミアンガーデンでみたっけ。青空の下で観られたの気持ちよかった。確かその後はヒックスヴィルで、幸せすぎてビールを飲みながら目が潤んだんだった。

16時、暮らしの棟へ移動。いつの間にか雨が降りはじめていたことに気づく。目に留まったマニキュアとネイルケアグッズ4点を恋人のお土産に買う。おれにも甘皮処理やってもらおうという目論見も込みで。早く渡したい。

17時、スタバは相変わらず常に列を作っていたから別のカフェのコーヒーをテイクアウトして座る。せきしろの文庫を3冊と一緒に。これは文句じゃないけど全体的に品揃えは良くない。売り場面積も広くないから。

たとえる技術 (新潮文庫)

たとえる技術 (新潮文庫)

  • 作者:せきしろ
  • 発売日: 2019/09/28
  • メディア: 文庫
 
まさかジープで来るとは (幻冬舎文庫)

まさかジープで来るとは (幻冬舎文庫)

 

読書の最中、我慢できずまだ仕事中の恋人に「お土産買ったから楽しみにしててね」などとLINEを送ってしまう。楽しみなことは隠さずに先走ってバラしてしまう性分だ。喜んでくれるだろうか。ふと外をみると雨がさらに強くなっている。おじさんが買ったばかりと思われる本を傘がわりにして車の方へ走っている。買ったばかりなのに。それにしてもここでは本を買う人のレジの列が長い。この店で買いたくなるというのは大いに共感できるけど、みんなこうも紙の本を買うのかと驚く。やっぱり気に入った本はとっておいて、いつか家に書斎を作ってそこに飾って、自分だけのベスト盤みたいな本棚を作りたいな。気に入った本は手元にちゃんと持っておくことを大切にしたい。

雨がどんどん強くなっていく気がする。店のガラス越しでもその匂いを感じられそうだ。この様子が続くとなるとバス停まで歩いて行くのも一苦労だ。そういえば帰りのバスの時間を調べていなかったことに気づいたので時刻表を見てみると20時が最終の便とわかる。思っていたより早い。今日はしばらくこもって過ごして、空いてきた夜からが本番くらいに企んでいたのに。あまり帰りのことを考えたくないのと、雨の日に本屋で足止めをくらうのも悪くないと思って一度考えることをやめた。たまに一人で無計画に過ごしてみたいと思った。

読書に戻ると、隣に座った大学生くらいの女子が、椅子の前に置いてある大きめのビーズクッションのようなものの感触を確かめ始めた。それは一度や二度ではなく幾度となく繰り返される。取り憑かれたように確かめ続ける女子に恐怖すら感じた。手には読もうとしているであろう写真集を何冊も抱えているのに。柔らかいものに飢えているのか。フードコートにあるおはぎ屋さんのおはぎはきっともっと柔らかくて、おまけに美味しいですよ。

18時、恋人からLINEの返信がくる「きゃっほう」と。いつの間にか柔らかさを確かめる女子は、ボーダーの派手な傘をもつおじさんに変わっていた。店内がだいぶ空いてくる、お腹も空いてきたので食の棟へ。渡り廊下に屋根があるけど、風も強いようで横から雨が当たってくる。すぐ何か食べようと思っていたけどカルディに引き寄せられてカレーペーストやらスパイスを眺めてしまう。いつかカレーをスパイスから作りたいけど、はまると台所がスパイスだらけになる可能性が高いため今は回避。結局レインボーペッパーのみを購入。夕食は札幌市内で何回も食べている175°DENOの汁なし坦々麺にした。お腹が空いていたけど無料の大盛サービスに手を出さなかった自分を褒めたい。絶対に気持ち悪くなって後悔するから。

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夕食後、少しだけ歌集を読んで、止みそうもない雨に見切りをつけてバス停へ向かう。使い込んだ折りたたみ傘が全然雨を弾かない。水を吸ってどんどん重くなっていく。行きは緑で素敵だった小径も一筋の光も入らない闇の道と化して少し不気味だったけど、雨で濡れた草木の臭いがキャンプの夜を思い出させて子どもの頃の思い出が浮かぶなどした。

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と、良いように書いてみたけどやっぱり大雨強風に低気温も辛いものがあり、おまけにバスが全然定刻にやって来ない。靴も染みてきて鳥肌が立ちはじめ、いよいよしんどすぎるなと感じ、バス停の時刻表を照らすと、「8/14は土日祝ダイヤ、土日祝はコロナで減便 詳しくはHPを」となっており、乗ろうとしていた便はしっかり減便対象となっていた。そりゃ濡れながら忠実に待てどもこないはず。道路をはさんで向かいに偶然とまっていたタクシーにスマホのライトで合図するも気づかれずに発車され、大雨の中知らない町の真っ暗な道路を駅方面に歩き、なんとか屋根付きのバス待合所に到着。電話で地元のタクシーを呼んでなんとか駅についた。乗ろうとしていたJRを流し、札幌に着いてから家の近くまで行くバスへの乗換が5分しかないという絶望的なタイムスケジュールが確定してしまい、寂れた江別駅のホームで立ち尽くす。これならもっと書店でゆっくりして時間を気にせずタクシーを使うんだった。少し前に「無計画で過ごしてみたい」なんて謎の思い切りをしたことを早くも悔やむ。北海道の夏はいつまで続いてくれるかわからないけど、半日の夏休みで小旅行気分を味わえたのでまあ良しとします。さて明日からは恋人がいる週末。ライジングサンはないけど、余すところなくその時間を堪能する所存です。

 

 

 

2020.7.3 このままがいいね

今週末の天気は晴天らしい。このごろはどんより暗くて湿っぽい日が続いていたから、たまっている洗濯物を、狭いバルコニーに一気に干せそうだ。ついでにこの心の中へも染みこんだような憂鬱な気持ちもカラカラに乾かしてほしい。先週末、多分正月の帰省以来初めて市外に出た。前から決めていた道東への家族旅行だった。両親は今仕事をしていないし、旅行をたくさん楽しみたいようでちょくちょく旅行に誘われるのだけど、飛行機に乗ってどこかへ行くのはどうしても時間がかかってしまうのでもう断ることにしている。その代わりに車で行ける今回には参加したというわけだ。家ではおれのコロナ対策に「うるさい」と恋人に言われているのだけど、そんなおれも疲れるほど母が色々管理してくるので(大事なのだけど)やや疲れた。初めて訪れた釧路は曲線と坂と川が美しい港町だった。

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コロナの影響からか市のシンボル的な建物中の活気がなかったのは気になってしまったけど。久しぶりに会う家族との会話は特段盛り上がることもなく、話せなかったことを一気に話すこともなく、いつもどおり淡々としていた。帰路に車内のオーディオでやった「誰がカバーしてるでしょうかクイズ」は楽しかったな。色々あるけど、きっと仲の良い家族で思い合いながら一緒にいることは間違いない。そのくらいでいい。行って良かったな。そういえば行き道の車内で買ったKindleの『女帝 小池百合子』は面白いと思って読んでたけど、帰ってきてから1ページも読んでいない。

ずっとラジオクラウドで追って聴いていた『空気階段の踊り場』が完全にリアルタイムに追いつきました。もぐらが妻子と高円寺で暮らし始めた報告に少し目頭が熱くなった。経験したことのない幸せが一気に訪れすぎて「寒気がした」というもぐらの言葉にかたまりは大笑いしてたけど、おれも去年似たような気持ちになったからよくわかるよ。恋人と付き合いはじめの頃、休日にカレーうどんを食べに行って、外食をする時の空気感というか温度感が合いすぎて嬉しくて「ほんとにこんなことあるのか?」と少し怖くなったんだよな。あのカレーうどんまた食べたいな。ちくわ天も最高なんだよ。

踊り場のストックがなくなってしまったので、TBSラジオクラウドで『さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』を最近の回から聴き始めた。「東ブクロの嫁決定戦」のコーナーでいきなり東ブクロと過去にDMを通じて会って肉体関係を持ったというリスナーが現れて、あまりの生々しい暴露にマスクの下で口を開けて笑ってしまった。さすがという感じでとても良いです。

https://www.google.co.jp/amp/s/news.livedoor.com/lite/article_detail_amp/18426683/

シャムキャッツ解散の報せに頭を垂れる。メンバーそれぞれのコメントを読んでさらに複雑な気持ちになる。それぞれがらしすぎる。個が強くて歪で、変にチーム感がない。その中で、全員がバンドを誇りに思っていることと、悔しさが伝わってきた。この解散は全く負けじゃないし、おじさんになって、ぽっと再結成でもしてシャムキャッツの音を鳴らしてくれるもんなら、もう大歓迎です。思えば日常を歌う歌詞を好きになったのはシャムキャッツからなのかもしれないなあ。

 

夏目知幸(Vo, G)
今まで関わってくれたすべての皆さん、本当にどうもありがとうございました。
ずっと動き続けてきました。いろんな景色を見させてもらいました。全部俺の財産です。まだ見たことない景色があるとしたら、止まらないと見れない景色です。今、それをしっかり見ないといけないなと感じています。ちょっと寂しいけど、さよならです。
シャムキャッツをやれたことは、俺にとって、そして俺以外の人にとってもすごくいいことだったと思えます。俺たち、よくやった。色々大変だったけど、すげえおもしろかった。このバンドに青春の全てを捧げた事を誇りに思います。

 

原慎一(Vo, G)
まずは、このような結果になってしまいごめんなさい。ライブ、したかったです。

音楽は永遠に残ります。シャムキャッツが作った作品はこれからもずっと、いつでもあなたのそばにいます。
と同時に、誰のものでもなく、あらゆる座標に自由気ままに漂っているものが作品なんだと思います。
それはバンドで僕らが表現してきたことに似ている気がします。
好きなときに離れて、またいつでも好きなときに抱き寄せてくれたら嬉しいです。

高校生の時にこの4人で集まって以来、20年近く一緒にいた僕らです。
解散なんてもので、この関係はそう簡単にこわせません。
メンバーのみんな、本当にありがとう。

今まで応援してくれた皆さんから、両手から溢れてしまいそうな愛をたくさんもらってきました。本当にありがとう。

ありがとうございました。

 

大塚智之(B)
シャムキャッツを通して出会い支えてくださった全ての方々に深く御礼申し上げます。
バンドという形での理想やロマンのようなものを追い求める事ができなくなってしまったのには少し寂しい気持ちもありますが、シャムキャッツを通して4人が共通して大切にしてきたものや、らしさはこの瞬間もそしてこれからも損なわれる事なく続いていくと言えます。

ヴォリュームは一旦0になるけど、電源は付いたまま。
もしかしたら別のチャンネルにしたら何か聴こえるかもしれません。
多分ずっとそんな感じです。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

藤村頼正(Dr)
このバンドで世に出て行く事に決めてから10年と少し。それぞれが理想のバンド像を追い求めつつも互いに依り合い、まるでひとつの生き物である様に振る舞ってきました。それが時には怪物のように感じられる瞬間もあったかもしれません。僕自身も幾度となくそれを感じ、その度にこのバンドをやってて良かったと心から思うのでした。
正直、個人的にはまだやりてぇ! と言う気持ちはありましたが話し合いを重ね、今4人がひとりひとりに戻ってそれぞれの表現活動をしていくタイミングであると判断いたしました。
これまでお世話になった方は数えきれません。シャムキャッツと出会って頂き、本当にありがとうございました。

シャムキャッツ『このままがいいね』

 

昨日今日は体調を崩して仕事を休んでしまった。おおよその原因はストレスだろうと踏んでいるけど、自分の脆さには目も当てられないな。家に一人でいると、それなりに仕事を忘れてリラックスできるのだけど、時間がすぐに過ぎる。仕事を休むなんて仮初の紛らわしでしかないのはわかってるんだけど。やっぱりおれは所謂社会から少し逸脱しているのかなあと改めて思う。幼稚園も行きたくなくて号泣しながら庭で嘔吐していたし、小学校も嫌いで家が好きだった。生まれながらになかなかに生きづらいぞ。このままじゃだめだね。

2020.6.16

なぜだか今日は心身共にとても調子が良い。昨日はあんなに絶不調だったのに。寝る前に入念に頭のマッサージをしたからか、膝上に湿布を貼って寝たからか、朝に飲んだユンケルの試供品が効いたからか、涼しいからか、半袖を着て身軽だからか、どの要素が関係あるのか知らないが、とても調子が良い。最近は早起きをやめて、恋人と一緒にシャワーを浴びるようになったので、シャワーから上がってもまだベッド寝ている恋人を怒って起こすというお母ちゃん的なイベントもなくなって快適だ。おまけに恋人と過ごす朝は楽しい。地下鉄へ向かう道でもよく笑う。2日連続でサーモスのランチジャーにご飯を入れて持っていき、セイコーマートでおかずを2品買って持って行っている。昨日はふきの煮物とサバの塩焼き、今日は鶏肉と豆腐のハンバーグです。『空気階段の踊り場』を聴きながら職場へ歩いた。憂鬱な気持ちに笑いが混じって変な気分だ。I'sの回を聴いてまんまと読み返したくなってしまった。

I”s<アイズ> 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

I”s<アイズ> 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

Netflixでも配信されているという実写ドラマも気になる。主演が岡山天音ということもより興味をそそる。I'sは小学生の頃に兄に連れて行ってもらった漫画喫茶でコッソリ読んだ思い出が強い。伊織ちゃん、今みても絶対かわいいしエロいんだろうな。Kindleで全巻コンプリートするか迷うところです。

昨日さくらももこの傑作エッセイ『もものかんづめ』をKindleで買った。中学生の頃に図書館で借りて読んだ以来だ。やっぱり嫌われ者のジィさんの葬式を面白おかしく描いた話がとても面白い。少しも感傷的にならない葬式の描き方、すごいな。当時はさくらももこに結構批判が殺到したみたいだけど、「家族だからといって自動的に愛情が発生するわけではないと思う」とコメントしたというエピソード、とても印象に残っているし、救われる人も多いんだろうな。

2020.6.9

今朝は晴れだ。

恋人が朝からももクロの『chaimaxx』をリピートして聴いている。元気が出るらしい。確かにそうだ。

 2020年のあーりんが痩せて美しくなっていることに驚く。

昨日は雨に打たれてしまったので、河川敷リベンジ。マスクを外して風に乗ってくる草の匂いをかぐ。ここに寄ることにしなければ普段かがなかった匂いだ。そんなところを通勤中の同僚2人に見つけられてしまった。構わないのだけども。石段に座って『ニューヨークで考え中』を読んだ。誰かの異国の生活をただ眺めているようで楽しい。8:40頃からウォーキングやらランニングの人が増えてくる。朝を河川敷で過ごしてる人がこんなにいることを知って嬉しくなる。みんな豊かだ。昨夜、『空気階段の踊り場』をラジオクラウドでダウンロードしたつもりができておらずガッカリした。ついに今年の5月放送分まで来ているのです。仕方なくApple Musicで『はじめてのサザンオールスターズ』を再生した。知ってる曲が多くていつ聴いても楽しい。一度はライブを観てみたい。

仕事は午前の2時間程度で終わらせる予定だったものが上司のOKが出ず、結局一日中かかってしまった。無能は疲れるし時間取られて損です。ストレスからか腰が重くなってきたのと、単に早く帰りたいという気持ちでタクシーに乗ってしまった。21時のすすきのは賑やかだった。活気があるのは嬉しいものの、不安にもなる。

帰宅すると恋人が、とても上手いとは言えない、むしろアレなchaimaxxを踊って出迎えてくれた。そして昨日のリベンジで買ったアップルパイをご馳走してくれた。チョコレートとショートケーキ風のやつ。甘くて美味しかった。

2020.6.8

思えば今朝も河川敷に寄ったら雨が降り出してしまったところから幸先が悪かった。急いで橋の下まで走って雨宿りしたはいいけど、気温も低かったから駅すぐのローソンで買ったホットコーヒーも冷めてきてしまった。浮かない気分のまま出勤して、そのまま一度も上昇することなく、寧ろ下がりながら定時を迎えた。どうしたって今の仕事が向いていないし、向いている仕事なんてないようにも思う。なんとか前向きに、暗くなりすぎず仕事を片付けようと残業するも、また新たな課題が見つかるばかりで不安が募ります。Apple Musicのエドシーラン選曲のドライブアンセムを聴くも、いまいちのらない。こういう時、辛いのは自分だけだとまで思ってしまいそうになるけど、きっとみんな表には出さないだけで辛いことは山ほどあるんだろうな。こんな日もあると諦めて、恋人の寝ぼけ録音を聴きながら帰路につきました。お昼に食べたネギ塩チキン弁当のネギが口内を充満している。帰って恋人に会ってちゃんと元気出た。恋人が帰り道にアップルパイ屋さんに寄ったら目の前のお客さんに買い占められちゃった話が平和で愛おしかった。明日もうまくいかなくても、なんとかなるなこりゃ。

2020.6.5 河川敷で考え中

今朝また川へ来ている。思えば毎日こ生活のなかで一人でぼーっと一息つける時間がこの時間くらいしかないんだ。川はよく死のメタファーになったりするけど、晴れた日のきれいな水面は全くそんなことを感じさせなくて、むしろ生命力に溢れてて好きだ。時差出勤なのに早くでて職場近くの河川敷でのんびりするなんて趣旨が違ってくるけど、それはそれで贅沢で良い。今朝はコンビニに寄らずに家からジュピターで買ったおやつミルクドーナツと家で淹れたアイスコーヒーを持参した。カラスにおびえながらそれをつまんで漫画『ニューヨークで考え中』を読んだ。見知らぬ人の靴を突然ほめるやつ、とても良い。ほめること=傲慢 みたいなややこしい考え方を吹っ飛ばしてくれた。おれもやってみたいけど無理だな。

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

 

同じ作者の『A子さんの恋人』も、大好きな『いつかティファニーで朝食を』もニューヨークが出てくるので、そこを以前より少しだけ身近に感じている。海外になんて絶対に住みたくないし、そもそも行ったことがない(11月にタイ行けるかな)。20歳の時に応募して当選したアメリカの大学へ短期留学(人体解剖するカリキュラム)、行っておけば良かったな。お医者でもないのに、人体解剖したことあるんだぜ、なんて話のネタになりすぎる。毎日仕事に行きたくないと思いながら寝て起きている今の自分を、20歳の頃の自分が知ったら首吊っちゃうかもな、なんて考えてウンウンうなっちゃいます。でも生きていると色んな新しい喜びを見つけられることもあるのです。

東京で考え中

東京で考え中

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  • J-Pop
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さて明日は土曜日。溜まっている大量の洗濯物を外干ししてそれが揺れている様を見て匂いも嗅ぎたい。あとはドラクエモンスターズ2をやって、恋人と歌ったり踊ったりおふざけをする。少し夜更かしをして映画を観るのも良い。丸一日のプチ断食をして、味のないプレーンヨーグルトをありがたく味わって食べる。呑気でかわいい時間を過ごそう。

ランドリー

ランドリー

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