明け方

できるだけ早く起きて朝やけをみる

2018.12.3

朝、いつも通り(本当はモーサテが観たかったのだけど)地方ローカルのワイドショーの占いをみたら、おれは1位「明るい未来がみえる」妻は8位「慎重に行動して」とあった。慎重に行動…。今日2人で離婚届出しに行きますけどね。夫婦としての最後の朝はおれが人間ドックのため朝食をぬくというイレギュラーなものになった。いつもより少し早めに出て最寄りのローソンで人間ドックにかかる費用を下ろした。普段基本的に現金を使わない生活をしてるから、こういう時や飲み会は面倒だ。飲み会の割り勘はみんな早くLINEペイつかってくれ。なんてことをリュックに離婚届と検便用のウンコを入れて歩きながら思った。こういう日は何を聴こうと少し迷って、音楽好きな人にすすめてもらった、冬にわかれて『なんにもいらない』に決めた。

なんにもいらない

冬にわかれて というバンド名と今の自分の状況を安直に重ねて選んだけど、とても良い。

冬にわかれて 私の春を生きなければならない

作家・尾崎翠の詩のタイトルを冠したとのことで、寺尾紗穂、伊賀航、あだち麗三郎という豪華メンバーのトリオ・バンド。寺尾紗穂の歌声は聴いていて本当に心地よい。

何にもいらないよ 君の温度以外

君の温度もいらなくなったおれの人間ドックは特に問題なく終わったけど、バリウム検査のあの言われるがまま、あのされるがままの感じは苦手だ。検査のために朝をぬいていたから遅めの朝食で健診センター近くのなか卯へ。胃に優しそうな鶏塩うどんを食べた。久しぶりのなか卯、あたたかい(うどんの温度)、うまいうまい。などと思っていると、向かいの席の白髪のおばあちゃんが大きな声で「あーーーー!!おいしい!!!」と唸りだした。見れば目にティッシュを当てている。一人でカレーうどんを食べながら。身なりはきれいじゃないしずっと独り言をいってるから、ちょっと変な人かな?とも思ったけど、別に悪い事を言ってるわけでもないし、ご飯食べて美味しいと思えるのは幸せなことだから、心の中で良かったねと言ったり言わなかったりした。店内では全く聞いたことのないJ-POP風のひどいクリスマスソングがずっとかかっていた。まじで知らんのばっかり。クリスマスソングをこんなに知らないことってあるか?おれはクリスマスソング大好きで、クリスマスソングとあらばどんなにどうしようもないアーティストでも聴いちゃうくらいなんだけどな。あ、森高千里かかった。安心。

あまり何も考えたくなかったので、ボヘミアンラプソディーを観に行こうと思ったら上映時間が合わず、ホットペッパービューティーの限定ポイントが当たっていたことを思い出してマッサージに変更。前にもいったことがある銀座や六本木にある小ぎれいなお店で、割と気に入っていたから再来。足裏から膝くらいまでのリラクゼーションコースを選んだ。担当してくれた人がすごくかわいいお嬢さんで緊張してしまった。マッサージは上手ですごく楽になったんだけど、緊張で全然リラックスしないので、ゴツいベテランのお姉さんとかの方が助かります。あと、足の親指の爪にずっと靴下のゴミが挟まっていたから恥ずかしかった。参った。足がほぐれてお腹も空いたので、小腹を満たそうと考えた時、寿司ならちょうど良い量に調節して食べられると思い、人生初のすしざんまいへ。一貫から頼めるのは良いが、これで道民の舌を誤魔化せると思うなよという感想。シャリがネトネトだしネタも鮮度が悪かった。それでもお腹が空いてたから結局8貫くらい頼んでしまった。やはり寿司は寿司。寿司の前では無力。ビールも飲みたくなったけど、さすがに離婚届を出しに行く前だからやめた。

人生初(最後にしたい)の離婚届はあっさりしていた。時間外受付のおじさんに紙切れを渡した。妻と待ち合わせて区役所へ入ったけど言葉はほとんど交わさなかった。あれが受理された後は、なんだかとんでもないことをしでかしたんじゃないかという気持ちが少々で、あとはほっとした気持ちが強かった。今日は寒すぎないだけ助かる。夫婦として最後の夕食に選んだのは、前から食べたいねと話していたもつ鍋屋さんの納豆もつ鍋だった。これが美味しくて美味しくて、加熱した納豆とゴマの香り、ドロドロ感、見た目の悪さ、どこをとってもたまらなく大好きだった。