明け方

できるだけ早く起きて朝やけをみる

2019年3中旬下旬

ついに全自動のコーヒーメーカーを買った。ついにというか、本当は夏のボーナスの頃にでもと思っていたのに、先走ってしまった。ついでに近所の美味しいお菓子やさんで、有名な専門店の豆も買った。一人暮らしを始めてどんどんQOLが上がっている感じがして満足感でいっぱいだけど、あまり色々なことを突き詰めようとしすぎてしまうと贅沢になるし、ますます他人と暮らせなくなってヤバい独身男まっしぐらになると思うからなんとか自分を制御したい次第です。ちょっと前のことだけど、久々に一人であまり用もなく2泊3日で実家へ帰ることにした。家をでて2時間と少しくらいで着いてしまうので、そんなに大げさなことはないのだけれど。帰る前になんとなくさっぱりしたくて美容室に行った。髪は10年近く同じ女性のスタイリストさんにお願いしていて、いる店が変わったりフリーランスになったりと転々としているけど追っかけ続けています。彼女は会うたびに髪が金髪パーマになっていたと思えば黒髪ボブになっていたり、大きいくトラの刺繍のセーターを着ていたと思えば、シンプルなワンピースを着ていたりと、系統がコロコロ変わって変化が面白い。とりわけ今のお店の雰囲気(オーナーでもう一人の男性スタイリストさんが成す)が一番好きなのでここでずっと続けてほしい。お店が小ぢんまりとしてて、最大で横に同時に3人しか座れないからいつもスタイリストと他のお客さんの会話聞こえてて、たまに自然に会話に混ざったりするのも楽しい。普通は知らない人との交流は苦手だけど、あの店で話すのはとても自然にできるし、それを楽しみにしてもいる。この日は、隣のOL風のお客さんが、「会社の隣の席のみんなから愛される好青年が、盗撮と横領をしていたことが発覚して会社でドスケベ泥棒というあだ名がついた」というなかなかのパワー系エピソードトークでまんまと吹き出してしまいました。良い場所を選んで集まる人たちはみんな何かしら面白い。

実家へは高速バスに50分ほど揺られて帰る。生活リズムが乱れていたのですぐに入眠した。いつもなら父が車で迎えに来てくれるけど、「お父さん、お風呂のタイミングだわ」というLINEが母からきて、やむなく市内の循環バスを利用することに。おれが住んでいた頃とは路線が大幅に変わっていて、理解に時間がかかりながら乗るべきバスを把握して、バス停の前の廃れたショッピングセンターへ。ここは昔は西友で、駅前の「街」の中心だったのに今は、どこが入り口がわからないスーパーマーケットと、寂れに寂れた婦人服店、やけに開放感のある100均、街中唯一の書店、謎の健康器具を売るために高齢者を集めるスペース などが入った典型的な地方の廃墟的な存在になっている。そこにいるだけで精気が奪われる気がする。来月公開の『愛がなんだ』が気になりすぎて原作の文庫を求めて書店に入るも、角田光代が4冊しかなくて驚愕した。バスに乗って外を眺めても人が歩いておらず、本格的にこの町の未来が見えず、ただただガッカリするばかりでした。そして乗ったバスがどこを走っているのか途中でわからなくなり、どこで降りたら良いのか、とてもヒヤヒヤした。実家ではただひたすらに親に甘え、黙っていると美味しくて健康に良さそうな食事が提供され、ビールを好きなだけ飲み、おれが話せばただ聞いてくれ、風呂が沸き、部屋が温まっている。最大の親不孝をしてしまった昨年から、こうして子どもとして甘えることでも親孝行になると、非常に自分本意な解釈をして親と接している。帰る日にはたくさんのおかずや食材を保冷バッグに入れて持たせてもらい、車でおれが寄りたいところに寄ってもらい、昼ごはん(寄ってもらった蔦屋書店の食べ物屋さん全部美味しそうだった)までご馳走になり、至れり尽くせりのまま我が家へ帰宅した。両親は2年以内に実家の戸建てを売って、おれと兄弟が今住む町へ引っ越すらしい。そうなると生まれ育った思い出の家や、懐かしく思う風景とはお別れで、いよいよこの町にくる用事もなくなる。決して地元愛が強いわけではないが、今住んでいる町で生まれて、そのまま育っていたとしたら、こういうふうに、地元に対して思う気持ちはなかったと思う。盆や正月に、普段の生活から少し離れて帰って来られる場所(ちょっと田舎)はきっととっても大事で、年を取るともっと懐かしく感じることになるんだろう。それだけにとても寂しい。だけど、おれがバスの乗り方もわからなくなったこの町で、変化を受け入れながら生活している両親がこれからどんな決断をしようとも尊重したいし、しないといけないと思っている。

そして父になる』を実家で母と観ました。是枝監督の家族ものはとても考えさせられてしまうので、鑑賞にとてもエネルギーが必要だから敬遠してたけど、おれが何年も前に実家に録画を頼んで放置していたことに痺れをきらした母から鑑賞命令がでました。覚悟して観たけど想像以上にしんどいテーマで、どっと疲れてしまった。おれもいつか父になれるのだろうか。福山雅治は俳優としてもミュージシャンとしても全然好きじゃないんだけど(実はずっと夕方のラジオは聴いてたけど)、最近は映画となるととても良い…。『SCOOP!』なんてかっこよすぎて好きになるしかなかった。作品自体はイマイチだったけど同じ是枝監督の『三度目の正直殺人』の福山雅治も嫌じゃなかった。そういえば、両家の母役の真木よう子尾野真千子は、ドラマ『最高の離婚』の妻同士ということが頭をチラついて、そっちもまた観たくなってしまった。

ところで、おれは今さら恋人つくることほど面倒なことはないと思って過ごしてきた。顔が好みだの性格がやさしいだの何かに秀でているだの趣味が合うだの、もしくはもっと簡単に気が合うでもいい、プラスの部分を好ましいと思いだれかを好きになったのならば、嫌いになるのなんか簡単だ。だけど、一度本気で好きになって嫌いになることほど寂しいことはないと思っている。恋人同士になったりしなければ、ずっと仲の良い友達でいられるかもしれない。恋人なんて、別れたらただ知人女性、職場の同僚、別れ方によってはもっと最悪の関係になるだけだ。だから欲しかったのは、今一緒にいられる適度な距離感の飲み友達だった。誰かと必要以上に深い付き合いになって、無用に傷つけたり傷ついたりしたくないし、責任も負いたくない。そんな、恋愛はおろか人間不適合者みたいなことを大きな声で言っていたにも関わらず、人間として好きになったと言ってくれる人がいた。ああ、あの焼き鳥屋のだる絡みバツイチ野郎の言う通りになったな。ということで、素敵な恋人ができました。人間(または結婚・恋愛)不適合者でも、また人を好きになれたし、傷ついても良いと思えていることが嬉しい。そしていつか電気グルーヴのような関係になりたいです。石野卓球ポルトガルから発信した、ピエール瀧への「I love you」尊い。あんなにも愛しあっている人間たちを他にみたことがないかもしれない。

水曜日のダウンタウンの、「なにやら占い師に傾倒し始めた相方が改名を訴えてきても応じられない説」のカミナリに泣いた。仕掛け人のたくみくんが怪しい占い師を師事して数珠や水晶を買い始めたことを一定期間相方のまなぶくんに匂わせたうえで、たくみくんから「王様のブランチのレギュラー(自分だけ)が決まった」ということを伝える。それを受けてまなぶくんは、「めちゃくちゃ応援する!」と素直に喜ぶ(少しも嫉妬などの複雑そうな様子もなく)そのうえで、たくみくんが、レギュラーが決まったのは占い師のおかげだと力説する。それからのまなぶくんの台詞に心動かされまくりました。

違いますよそれは。君の努力だから。芸人って気付きづらいのよ努力に。

お前の努力なの。

(数珠を)外せよ、早く。腹立つんだよ。なんなの、こんなの一番キライだったじゃん。

いや、待て待て待て。君の人生は俺の人生だし、俺の人生は君の人生なんだよ。一緒に歩んでいくの。そいつが、そんなクソみたいなもの買わされて、つけて信じて、名前改名するとか、ふざけんなって思うよ

もうまなぶくんがめちゃめちゃにカッコよかったです。こんなに熱い男だったのかまなぶくん。ネタバラシした後の安堵と怒りの入り混じった顔も最高だった。カミナリはM-1準決勝で初めてみたときから、2人ともルックス含めて大好きです。ずっと応援したいしもっとテレビでも大活躍してほしい。ネタも好きだけど、テレビスターになってずっと露出し続けて、さまぁ〜ずとかおぎやはぎみたいにおしゃれ仲良しおじさんコンビになってほしいと勝手に願う。スターといえば、ビリー・アイリッシュのアルバムは最高すぎやしませんか。2001年生まれの彼女が次世代の世界的スターになることが確約されたようなアルバムです。最近海外の音楽はラップばかり聴いてたけど、これは通勤中も家でもずーっと聴いています。

あとよく聴いているのはエビ中の最新アルバム『MUSiC』 です。正直に言えば、絶賛されてるほど全体を通して愛せるわけではないけど、吉澤嘉代子が書き下ろした『曇天』が大変良い。彼女の提供曲の中でより一番好きかもしれない。それにしてもエビ中は本当に立派なグループになったと勝手に感心してしまう。ももクロのライブのバーターで初めて観たとき、歌も踊りも本当に学芸会レベルで、心から驚いたことをずっと忘れない。

この時期の楽しみの1つに、北海道日本ハムファイターズの投手、斎藤佑樹さんのキャンプ情報を収集することが挙げられる。日ハムにあのハンカチ王子がくることになった時は、「おぉ。」としか思わなかったのに、ドームで入団会見をした時に北海道の印象を聞かれて「何もない自然」と死んだ顔で答えた時からファンだし、2012年のシーズンの優勝パレードの警護をした時に近くでお顔を拝見して、あまりの美しさに度肝を抜かれて「これがスターだ!」と感動したことは忘れられない。ビッグマウス、給料泥棒、客寄せパンダ、などと何かとファンやネット民に侮辱にされながら、故障とも戦いながらもがく30歳の姿にいつも心を動かされております。なんとか再起して、活躍してほしいと切に願っている。毎シーズン、開幕前は今年は調子良いと言われるのも彼の特徴なのに、毎年期待してしまうのはやっぱり何か惹きつける魅力があるからですよね。本当はずっとあれやこれに期待していたいし、自分の中で保険なんてかけないで生きたいものです。外は雪も溶けて、空気もすっかり春になっている。とはいえ、まだ風は冷たく、ユニクロのウルトラライトダウンが活躍している。早く暖かくなって、恋人とこの町を散歩したい。ずっと心穏やかに散歩していられる人生がいいなあ。