明け方

できるだけ早く起きて朝やけをみる

2019年5月のこと

ある日

いつもリュックに入れているはずのイヤホンを家に忘れた。イヤホンはハイスペックなやつが壊れてから何度も買い直そうとしたけど、結局Appleの純正の物を使っている。少しでも良い音を、などと思い始めたら欲がですぎてしまいそうだから必死で抑えています。今持っているBluetoothの防水のやつは、街中だと頻繁に音が途切れ過ぎるのと、やはり音が良くないので自宅のシャワー用にした。Amazonオーディブルの聴き放題サービスが終了して以降オーディオブックから離れていたのだけど、先日「オーディオブックキャンプ」という月額750円のサブスクサービスを見つけて、ラインナップが悪くなかったので早速登録した。一度読んだことがある本を改めて聴き直したりしています。最近はまた睡眠に関する本が自分の中のトレンドで、熱心に聴いています。眠れる人間にりたい。でもそれを聴いている最中に寝てしまいました。ようやくゴミ箱を買った。20Lのゴミ袋がちょうどよく入る箱が5つも縦に連なっているバカでかいやつを。だんだん部屋に必要なものが揃ってきてるのに、実家からフェス用に持ってきたキャンプ用品がいよいよ邪魔になってきて辛い。そもそも本当にライジングサンに行けるのか、1人でキャンプをするのか、その寂しさに耐えきれるのか、誰か教えてほしい。去年は2日目のオールナイトだけ参加したが、結局疲労と寂しさから夜を越さずに地下鉄で帰宅するという軟弱っぷりを発揮してしまったのだ。

 

別のある日

早起きして洗濯をした。定期的に恋人が来訪してくれるので、おれが家事をサボりすぎなくて非常に助かる。日曜に買った専門店のメロンパンの残りを頬張りながら支度をした。外は強風と弱い雨で、セットした髪の毛がいとも簡単に崩れて、くせ毛が相まってメデューサのようになってしまった。メデューサといえば、岡田あーみんの『ルナティック雑技団』で天湖くんの母 ゆり子がメデューサになって追いかけてくる場面を思い出す。あと一つ、さくらももこの『コジコジ』で、偶然会ったタコと海中を散歩しているコジコジメデューサに出会う場面も。普通(とは言えないけど)の少女漫画やファンタジーメデューサが登場すること自体が珍しいのに、りぼんの二大イカれた天才少女漫画家の二者の作品に共通してしまうところが面白い。岡田あーみんの『お父さんは心配症』の中でデパートにきたまる子と友蔵に会う話、最高なんだよな。うちの母がその昔、その回を歯医者の待合室で読んで爆笑してしまったエピソードも好き。さくらももこは去年逝去してしまって、その知らせを聞いた時唖然としてしまった。同僚と仲良く餃子を食べていた時だった。岡田あーみんは、3作品(単行本発刊作品)の発売のみで行方をくらまして以来、一切の情報がないという神秘性も、彼女を語る上で欠かせない。生きているのだろうか。漫画家をやめてどんな生き方をしていたのだろうか。

お父さんは心配症 1 (りぼんマスコットコミックス)

永沢君 (IKKI COMIX)

そんなことを考えながら強風の中歩いていたら、昨日家に忘れたと思ったイヤホンがジャケットのポケットから出てきた。探すのをやめた時見つかることはよくある話で、みたいな、その日解決できないと思った問題は、一晩寝たら案外大したことじゃなかったと思えることは本当によくある。仕事でもなんでも、くよくよする前に寝てしまうのが一番良いなとは思うけど、どうしても帰れないことがあるのが問題だ。

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見つけたイヤホンで、サニーデイ・サービスの『サニーデイ・サービスBEST 1995-2018』を聴きながら川沿いを歩いて職場へ向かった。あえてベストを選んだのは単に聴きたいアルバムを選べなかったからと、過去の歌ものの名曲を口ずさみたかったからです。早い時間の川沿いの道は通勤の車だらけで人があまり歩いていないから、歌うのに最適なのです。サニーデイはライブ活動休止中だったけど、スピッツ主宰のロックロックこんにちは!の出演が決まったようでほっとした。去年のライジングサンのボヘミアンガーデンで観たのが直近のライブで、丸山さん逝去の発表からひと月も経たない頃だった。一曲目から「感極まる」という表現がぴったりな恥ずかしい泣き方をしてしまった。自分でも驚いた。さらに途中のMCで曽我部さんが「泣いちゃダメだよ」などと言うものだからもっと泣いた。隣の人もかなり泣いてるなーと思ってチラ見したらおれの兄弟でした。こわ。あの日の『今日を生きよう』と、急遽曲目変更して入れた『雨の土曜日』が控えめに言っても最高だった。その日は雨の土曜日だったんですよね。どうしたってジーンとしてしまう。

短かすぎる季節 ぼくらの方に来なくても
例えばふたりの夜が 道端に捨てられても
何にも知らないふりして 今日を生きよう 今日を生きよう

いつかどこかで聞いた哀しい話しのように
恋人が去って涙してそれでおしまい
水たまりに映った自分の顔をじっと見つめて
青白くけぶった街並みへと向う
いつもとはちょっと違うこんな雨の夕方に
そっぽ向いた空を見上げ何を待つ

仕事中はとても眠くて、少しじっとすると瞼が落ちてくる。眠くなっちゃったとかのレベルではない。病気だ。ほとんど集中できないのに忙しいからかなり強引にカフェインを流し込んだけど、夜になって単純な文字のミスなどを多数発見してその修正にかなりの時間を要してしまった。無能なのは認めながらもなんとかしたい。カフェインといえば、最近知ったKIIVAというエナジードリンクが良いです。350mlに対してカフェイン含有量が160mgという暴力的な量。脳がバッキバキになります。それでも飲みすぎて効き目が薄くなってるから日々頭を抱えています。

 

またある日

MOROHAの新しいアルバムを聴いて出勤した。映画『モテキ』でナタリーの社員が、ももクロの『走れ!』の動画を観て行動する勇気を出した幸世に言う「弱ってる時に聴くアイドルソングは麻薬」というセリフがあるけど、弱ってる時に聴くMOROHAの方がそれよりももっとヤバいやつだ。歌詞だけ読むと本当にダサいし格好悪いんだけど、どうしても心を打ってくるから困る。歩きながら何度も目頭が熱くなって、心が震えて熱情がはねっかえってしまう。MOROHAみたいにダサくて弱いものを素直にさらけ出せる人間でいたいし、それを嘲笑するような人にはなりたくないなと思う。ライジングサンで観られるのを楽しみにしています。

 

別のある日

眠いけどちゃんと起きて仕事に行っています。本当は美味しいパンとコーヒーでも楽しんでから優雅に出発したいけど、健康と節約のためにゆでたまごとバナナと納豆の中から2つ、と一人暮らしを始めてから決めています。しかしまあ忙しい日中や残業中にチョコやファミマのミルクドーナツをばくばくと食べているうえに、夕食をまともにとらない日が続いているので健康に関しては自信がない。もう少し考えます。納豆には擦った白ごまと粗挽きの黒胡椒をかけて食べる。黒胡椒の良さはマツコの知らない世界で知りました。同番組は録画してるけど、なかなかわざわざ休日に時間作って観たりはしないんだよなあ。やっぱりそのくらい、テレビ番組はリアルタイムでぼーっと観るに越したことはないと思います。職場で昼休みにトイレで歯を磨くのだけど、狭い場所で何人も磨くからポジショニングに苦慮する。人一倍無意識に気を遣ってしまうたちで、これはそういうスポーツなのかと錯覚してしまうほど頭を働かせている。いかに人の邪魔をせず磨き終えた人が洗面台に行く導線を作り、用を足すだけの人に優先的に手を洗わせるか。そういうスポーツだ。職場でお昼に頼んでいる日替わり弁当は、毎日翌日のメニュー予告をしてくるけど、高確率で予告とは違うものが入っている。品数が多いので、気づきにくいがよくよくメニューと見比べてみると、大胆にも玉子豆腐が唐揚げに、おからハンバーグがキムチになっていたりする。美味しいし安いから文句は言わないし、一緒に注文してる人と答え合わせをするのも密かに楽しみにしている。

 

ある金曜

仕事が溜まりに溜まっているのだけど、夕方の時点で出来ていなくても叱られない程度になったので、定時に帰った。いつか地下鉄で見た、4月ドラマの『わたし、定時で帰ります。』のポスターに「働き方新時代」みたいなことが書いてあったけど、定時で帰ることのどこが新時代なんだよ心の中で結構激しく突っ込んでしまった。時間になったら帰るのは当たり前です。明日できることは明日に回すのが健全な大人なのだよ。空が明るくて生きた心地がした。ウキウキしてデパ地下を行ったり来たりして、夕飯と明日の朝ごはんにするものを買った。おれにこんなに元気があったなんて。何だかんだ切り替わりが早くて助かる。明日は恋人の誕生日なので、デパ地下で買った惣菜の袋を両手に持ちながら花屋に寄って小さいブーケを作ってもらった。うちのダイニングに飾りました。花のある生活はなんとなく豊かな感じがしてうっとりする。

 

ある休日

外気温30℃を超えて、この時期の北海道としては記録的な暑さに見舞われた。恋人が先輩の結婚式に行くというのに、着ていくドレスが破れていたため、急遽おれも一緒に出て街へ調達することに。つい最近のオードリーのオールナイトニッポンで、若林が春日の結婚話に絡めて、結婚式に参加する女性たちの服装の滑稽さの話をしていて大いに共感した。あのヒラヒラした安っぽいドレスとか、ラメのストールとか、誰が良いと思っているのだろうと常々薄ら笑っているので、とても真剣に探した。そして、シンプルなパンツスタイルのセットアップになって、勝手に大満足です。恋人とは急いで決めた適当な京風スパゲティの店でランチをして別れた。もともと夏は暑くて苦手だけど、今年はなんだか嬉しい。隣を歩く人と過ごせる夏と考えると特別なものに思えてくる、とんだお惚気野郎です。せっかく晴れた日に街へ出たので、一人でも何か楽しいことをしたくて、あと少しで閉店してしまうディノスシネマズ札幌にもう一度行きたくなり『暗殺のオペラ』を観に行った。「サヨナラまであと7日」などという看板や、常連客たちからのメッセージがビッシリの壁、地元テレビ局のカメラなど、どうしても閉店を意識せざるを得ない様相に早くも泣きそうになる。さみしい。この場所で何人の人生が救われてきたのだろうか。 

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開演までの間、美味しすぎるクラフトビールのショートサイズを流し込んだ。大げさじゃなく、こんな晴れた日曜日に映画を観に行って美味いビールを飲む、そういうことのために生きていると思った。本当の幸福とはこういうことで、それに気づいていることは最高の贅沢だと思う。これこそサニーデイ・サービスじゃないですか(意味不明)。それで肝心の映画は開始2分ほどで寝入ってしまい、本編の半分ほどを睡眠に費やしてしまいました。やってしまった。外に出るとまだ全然明るくて、それが嬉しくて家に帰るのが惜しくなり旭川ラーメン山頭火へ行った。行った店舗はただのラーメン屋ではなく、居酒屋メニューが充実していて飲み放題もやっている。エビスの中瓶一本で酔ってしまい、無性に誰かに連絡したくなって高校の同級生にLINEでメッセージを。全国転勤の仕事をしている彼は、この3年ほどで東京→滋賀→石川→岐阜 と何度も引越をしていて、その度に結婚から遠のいているという。ずっと一人と決めてしまった人ならそれも楽しそうなのになと思うけど、その同級生はどうやら結婚がしたいらしい。それもあり、彼は転職することにしたので、今年いっぱいで会社をやめるとのこと。今の会社も転職して入っているため、「案外どうにでもなる」と思えるようになると話し、随分とたくましく感じた。無駄なものを何も背負っていない人は強くてカッコいい。山頭火のマグロカツと麻婆豆腐が思ったよりちゃんとしたお料理で感激した。結局ラーメンも頼んで、中瓶も2本目に突入してしまった。帰り道、19時台でも生ぬるい外の空気を感じながら、身体が肥大化してしまう恐怖に怯えて歩いて帰った。帰宅後、滝沢カレンのインスタの文を読み漁りました。もったいなくて一つの投稿をゆっくり咀嚼しながら読んでしまう。文法とか日本語の使い方とかデタラメなんだけど、表現が美しすぎていちいち惹きつけられてしまう。実は本をたくさん読んでいる人なんじゃないかな。ただ日本語を普通に正しく使うことが下手なだけで。

ありとあらゆる種類の言葉を知ってなにも言えなくなるなんて そんなバカなあやまちはしないのさ!  

(小沢健二『ローラースケート・パーク』)

結婚式に行っていた恋人は二次会に行かず会いに来てくれた。そしてそのドレスアップした美しい姿に異常なほど歓喜して、パシャパシャと写真に収めようと必死になるのでした。

Camera! Camera! Camera! / カメラ!カメラ!カメラ!

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