明け方

できるだけ早く起きて朝やけをみる

2018.12.15

前妻が実家に帰っていて一人だから、きちんと早起きをして荷造りをする。段ボールに物を詰める作業は憂鬱だけど、要らないものをポイポイでかいゴミ袋に捨てるのはすごく楽しい。捨てるのを躊躇してしまうときは、こんまりさんの本を思い出して思い切ることにしている。それにしても、こんなに要らないものがあったのかと少し驚く。今いる家と新しい家のインテリアのコンセプトが違いすぎるせいで処分する物が多いということもあるけど。おれはこだわりだしたら止まらなくて自分でもとても疲れる。一体、家具や雑貨選びにどれだけの時間を費やしたのか。特にLOWYAよ、あんなに良さげな物たちがニトリ並みの低価格で提供されていて素晴らしい限りなんだけど、ラインナップが豊富すぎる。つい選びに選んでしまう。同時期に家具家電付きの賃貸に引っ越すという後輩をふと思いだして、少し羨ましくなる。

昼前に不動産屋に鍵を受け取りに行く。おれの担当についた新卒ボーイは「色々至らない点があり申し訳ありませんでした。」と言うが、全くもってその通りであった。あまりに不備が多く、かなり実害を被った。しかも最後の最後に重要事項説明書上の住所が一部違っていたことが発覚した。もうAmazonとか、色んな配達の住所変更をその住所でやってしまったばかりだっから、ガッカリだ。でも最後まで怒れなかった。新卒と聞いていたし、なんか不慣れが少し可愛かったし、なんなら顔も可愛かったし、ポンコツに同情してしまう性分だ。こちらもポンコツなのでね。再度の住所変更、せっせと頑張ります。だからお前もがんばれ。

お昼ごはんはラーメンを食べました。引越し前に好きだった店に行きまくるというのが最近の日課になっていて、今日で来店5回目くらいの旭川ラーメンの店へ。開店直後だったけどすでに2/3の席は埋まっていた。入り口近い席で、外からの冷たい風に耐えながら350mlの缶ビールを飲んだ。店内を見渡しても、ビールを飲んでいるのはおれだけだった。みんな、もっと昼からでも朝からでも酒飲めばいいと思うよ。おいしいんだから。幸せになれるよ。おそらくもう二度とわざわざ来ることはないであろうこの店に別れを告げて(心の中で)いったん帰宅した。夜から飲みの約束があったけどまだまだ時間がある。一人で部屋にいるとどうしても観たくもないTV番組をなんとなくみてしまったりする。だらけてるのは自分でもわかってるんだけど、体が動かない。せめて、見たくない番組じゃなくて録り溜めた番組を消化しようと、『M-1グランプリ2018』を観た。M-1をオンタイムで観なかったのはおそらく2006年以来(王者チュートリアル)じゃないだろうか。それだけお笑いの賞レースはオンタイムで観ることに意味があると思っている。でも今年はどうしても私生活のゴタゴタで観る気にならなかったので録画にいたってしまった。優勝者も知っているし、楽しみにしていた審査員たちのコメントの引用も散々ツイッターで見てしまっていたから、オンタイムの興奮は捨てて純粋にネタだけを楽しむことにした。ちなみにおれは毎年M-1とキングオブコントは勝手に点数をつけながら、実際にの審査と比較しながら一人で楽しんでいる(そういえば一度小さなお笑いコンテストの審査員をやらせてもらったの最高でした)。でも今年はそれすらやらなかった。オンタイムじゃないことで明らかに観るモチベーションが下がっていた。色んな人が言っているように、今年のレベルはかなり高かったように思えるけど、おれは爆発的に「これだ!」というネタはなかった。王者の霜降り明星は確かにすばらしかったけど、二本目はどうしても見劣りしたし、準優勝の和牛はそもそもネタが好みじゃない。ジャルジャルは2016年あたりからめちゃくちゃ良くなってきたし、去年の福徳の剥き出しの悔しそうな顔が忘れられなくて応援してたけど、残念ながら笑えはしなかった。そういう点で決勝二本目に進んだ3組の中での霜降り明星の優勝に文句はなかった。全体で印象に残ったのは、強いて言えばトム・ブラウン。荒かったけど、突き抜けた狂気的なインパクトがあった。突拍子もなさとばかばかしさ。立川志らくの審査は一部で物議をかもしているようだけど、「何なんですか、あなたたちは。意味もまったくわからないんですけど、衝撃を受けましたね。ここでは敗退しましたけど、私はあなたたちを追いかけます」というコメントは心から素敵だと思った。審査は難しいから、好みが左右されるのは当然だ。あと良かったのは見取り図。ルックスに華があると思ったし、落ち着いていて好きだ。やっぱり昔から関西の笑いが苦手で、好みに偏りがあるとは思う。あのスピード感とかボケの多さとか、たたみかける系(全然違う話だけど 四千頭身の、前半にたたみかけんな 好き)の若さみなぎる漫才は、上手さに感心するけど苦手。思い返せばM-1で初見だった歴代の出場者でインパクトを受けたのはオードリーとスリムクラブみたいなゆったりしてるけどワードセンスが秀逸な文系の笑いだったなと思う。あともっと言えばだんだんみんなM-1に芸人人生かけすぎて雰囲気が重くなりすぎて笑えなくなってる感がすごくある。完全に漫才がスポーツ大会化してる。賞レースは好きなんだけど、もう限界があるんじゃないかと近年見てて思う。あれはあれで好きだけど、みんな純粋に笑えるのは、ENGEIグランドスラムみたいにもっとリラックスした雰囲気でやれる漫才だと思う(おぎやはぎは毎回緊張している気がするけど)。でも来年も結局みます。

予定の時間より早く家を出て、せっかく鍵を受け取ったからと新居に向かった。最寄の駅で降りて、散歩がてらふらふらしてると、好みな雑貨屋さんを発見。

キッチン雑貨やら日本全国の工芸品やら、お洗濯グッズ、デザイン性に優れた生活雑貨がそろい踏みでわくわくがとまらなかった。一目ぼれでステンレスのバケツと、ツールボックス風の箱を色違いでふたつ購入。新居から近いしここは通おう。引越し先でこんな店に出会えたことに興奮しながら小躍りして歩いた。やっぱり初めての土地をゆっくり歩くのは楽しい。3年前まで一つ隣の駅に住んでいたけど、いくら地方都市でも一駅違うと全然雰囲気も違うし知らない場所がたくさんある。家に一番近いコンビニのファミマに用事もなく入ってみたりした。これからお世話になりますと年配の店員さんに告げて(心の中で)、まだ電気も通っていない新居へ。内覧で二度訪れてるけど、住むことが決まってから来るのとじゃまた気持ちが全然違う。改めて見ても本当に使いにくい間取りだし、住みにくさが半端じゃない。ただ、そこが決め手だった。今まで、ただの生活に縛られて、我慢してきたからこそ、一人暮らしを始めるからにはとことん不要な生活感を捨てて、自分の好きだけにこだわりたかった。そのこだわりは自分だけのものであって、他人には関係ないという贅沢。一人ぐらしばんざい。でも今はとてもさみしい。いつかあの生活を思い出してきっと泣いてしまう。あのような生活に、もう一生縁がないのかなと思うと、それはそれでかなりしんどい。そんなことをその後に行った美容室でも話したけど、そもそも離婚の理由とかに食いつかれて、あまり楽しく話せなかった。離婚の理由、決定的にコレ!みたいなのはないからいちいち説明が面倒くさい。「オレが浮気したんすよー!」の方がよっぽど端的でつっこまれやすくて楽だ。浮気、してないんだけど。これがしばらく続くと思うとうんざりだから、せめてみんなおれが結婚不適合者みたいないじりをしてほしいと勝手に思う。美容室が終わって、約束があったからすすきのへ向かうとドタキャンの連絡がきた。この忘年会シーズンで人だらけのすすきのに一人放たれてしまった19時。何となく一人で今の部屋に帰るのもしんどかったしビール飲みたかったから、たまに行く餃子屋さんへ。焼き餃子5個と水餃子5個とビール2杯を平らげて、よく行くネットカフェへ。連載中の漫画で読み続けている作品の新刊は出てなかったので、のんびり読み進めようとしている『いつかティファニーで朝食を』を読み始める。いつだったか、「アラサー女子が悩む作品」が好きという知人女性が好きだと言っていた作品。

いつかティファニーで朝食を 2巻 (バンチコミックス)

まあほんとに、アラサー女子たちが悩む作品 なんだけど、登場人物たちの心理描写がいちいち良い。あとことごとく今の自分にささるキラーワードをぶち込んでくる。まだ4巻までしか読んでないのに最高です。

私自分の気持ちに逆らいたくない
自分勝手かもしれないけど
大事にしてるもの
大事にしていたい

私はこのままずっと誰かのためだけに生きるの?
私だって仕事の話や好きなものの話を
目を輝かして話したい!
自分の人生を好きなように生きたい!!

淋しいこと
淋しいと思わなかったり
悲しいこと
平気なフリしたり
そんな処世術いらない

これらのセリフは全て、自分に正直でありたい、自分の人生を生きたいという思いが共通していて、それはここ数ヶ月自分も強く思っていることだったので大変心が揺さぶられた。本当にわかりすぎて吐きそうになる。自分の大切に思っていた人たちを犠牲にして、自分のために自分の大事なものを選ぶのってすごく勇気がいることなんですよね。これができる人は意外と多くないと思うし、自分がそうしたことを責めずに自信にしたいと心に誓った矢先、ネカフェの隣のブースからおっさんの連続っ屁が聞こえてきて我に帰る。ここで屁をこくのは人生を好きなように生きているのとはまた違うから慎しんでほしい。